しゅみは人間の分析です

いらんことばかり考えます

製麺2021

ついにキッチンエイドの製麺機アタッチメントを買ってしまいました。というわけで、スパゲティ?と中華麺を作ってみた話です。

キッチンエイドとはどういう道具か

non117.hatenablog.com

パンの記事でも触れたんですが、キッチンエイドという調理器具を持っています。スタンドミキサーというカテゴリーの製品です。

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キッチンエイド

もともとはパン生地を自動で捏ねるための道具なんですが、アタッチメントで機能拡張ができます。アタッチメントのラインナップは異常に充実しており、コーヒーミルやジューサー、ミンサー、製麺機などがあります。

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キッチンエイドの正面。ここにアタッチメントが装着される

なんでそんなことができるのか?ここに穴が空いていてモーターの動力を取り出せるからです。本来の用途、パン生地を捏ねるためには、下部のミキサー部分を回すだけなのですが、どこかの天才が動力を別の用途に使える発明をしました。アタッチメントは回転運動を使う何かしらの道具であればよくて、その結果、ミンサーアタッチメントや製麺機アタッチメントが誕生したというわけです。

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うちにやってきた製麺機アタッチメント

こうして麺アタッチメントがこの世にあり、ステイホームで暇になった私は製麺したくなってしまったのでした。

どうやって麺を作るか

r.gnavi.co.jp

インターネットで製麺といえば玉置さんですね。この記事を参考にしました。製麺機(しかも電動)は手に入れたのであとは粉です。うどん、パスタ、中華麺の選択肢がありますが、パスタと中華麺を作ることにしました。

必要なものは、強力粉、デュラム小麦のセモリナ、かんすい、卵です。強力粉はたくさん在庫がありました。卵はてきとうに手に入れる。というわけで、デュラム小麦のセモリナとかんすいを富澤商店しました。すばやく届いてありがたいことです。

あとは、玉置さんのレシピと野良キッチンエイドユーザーのレシピを眺めて考えます。考えてエイヤで作った結果が以下の記録になりました。

パスタ編

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粉をまぜます

デュラム小麦のセモリナと強力粉を150グラムずつ混ぜます。最初はビーターという粉を混ぜるフックを装着します。

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全卵三つ

粉が300グラムなので、卵は三つです。玉置さんは卵黄多めにしてますが、卵白の処理が面倒なので全卵にしました。

溶き卵を少しずつミキサーに注ぎます。すると、こうなる。

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機械に捏ねていただきます

デュラム小麦のセモリナはもともと黄色いのですが、もっと黄色が強くなります。

水分が入ると粉がまとまるので、てきとうなところでドゥーフックに切り替えます。

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ドゥン

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ラーの翼神竜・スフィアモード

塊ができたらあとは手で成形します。すると、ツヤツヤテカテカの愛おしいやつができました。これを三十分くらい冷蔵庫で寝かせます。

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ばびーん

生地をとりだして麺棒で伸ばします。ワインやビールの瓶でもいいと思う。

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たのしい複合圧延

これをパスタローラーに通して薄くしてゆきます。厚めの設定から薄めの設定に変化させてゆく。気分で複合圧延をする。

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ラザニアじゃん

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キッチンエイドにめんだこステッカーを貼っている

麺帯がお好みの薄さになったら帯を切ります。麺になってから切るのは困難なので、帯の状態で麺の長さを決めます。

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シュレッダー

麺帯をシュレッダーします。キッチンエイドの麺切りアタッチメントはスパゲティ幅とうどん幅しかありません。

この画像ではミスってますが、切った麺はすぐにコーンスターチをまぶしましょう。麺がくっつきます。

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われわれのソースコードおよび設計

こうして生スパゲティ麺ができました。中華麺のようにも見えますがスパゲティです。

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昼食

ゆで時間は1分くらいでした。1分半でもよいかも。図のようにてきとうソースのパスタを作りました。

おいしかったです。地味な味なんですが、調和している。乾麺では出せないソース絡みが達成されていました。この麺は表面がザラザラしてるんでしょうね。乾麺とは別物の料理になりました。この調理法だとソースの味がしっかりしていて麺の能力を判別しきれなかったのですが、フェットチーネみたいな太麺にすると麺とソース両方を楽しめることでしょう。

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現場猫付箋

余った生麺は冷凍保存にしました。90グラム小分けタッパー。

インターネット文献によっては冷蔵保存でもいけるとされています。しかし、このパスタ麺には生卵が入っています。生卵は栄養満点で雑菌の好物です。いくら水分量が少ないとはいえ、冷蔵保存はよくないのではなかろうか。

中華麺編

玉置さんのレシピに従います。計量して粉に少しずつかんすい溶液をいれていきます。粉はスーパーで売っていたカメリヤを使っています。

かんすいは苦かったです。

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まとまりにくい

ある程度まとまってきたら手で整形します。

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生物の教科書にのっていたカエルの卵に似ている

材料の設定は玉置さんと同じなのですが、捏ね手順が違います。基本は機械に捏ねてもらい、最後に手で丸めるだけです。ジップロックにも入れずにキッチンエイドのボウルのなかで生地を寝かせます。

グルテンは時間経過でも形成されると麺の科学に書かれていました。なので、生地は寝かせるとおいしくなると思われます。また、小麦粉に含まれる油脂を小麦皮の酵素アルデヒドの風味物質へ分解するようです。つまり、熟成は風味や麺の腰に寄与するためやるとよい。

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てきとうに伸ばす

 寝かせた生地を伸ばします。画像のように歪な形でも大丈夫。複合圧延をしていくうちに勝手に麺帯はきれいな見た目になってゆきます。機械を信じましょう。

あとはパスタと同じ手順です。麺帯をつくり複合圧延してシュレッダー。

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麺帯が長すぎた

麺帯はてきとうなナイフで切ります。中華麺帯は重ねてもくっつきにくかったが、パスタ麺帯は打ち粉をしないと重ねられない気がする。ちなみに、コーンスターチの打ち粉をしたらそれ以降は複合圧延できないはずです。

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落ちた先にコーンスターチ

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納品

こうして中華麺ができました。

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握って手揉み風に

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茹で一分

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ラーメンにしました

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ふつうにラーメンですね

茹でて簡易ラーメンにしました。鶏ガラスープの素と醤油、ゴマ油、葱、お湯で作るやつ。夜鳴き蕎麦っぽい味になりました。小麦の風味があってうまい。粉を選ぶともっとおいしくなると思われる。

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冷蔵庫にたくさん麺があると思うと平日をやっていけそうな気がする

中華麺は冷蔵保存でもよいでしょう。粉と水しか入ってない上にかんすいが入っているので保存性は悪くないはず。

これを茹でてもよいし電子レンジで蒸して焼きそばにしてもよい。こうして在宅勤務の昼食が確保されました。

感想

製麺は初めてですが、うまくいきました。というかパンを作るよりも簡単でした。たぶんキッチンエイドによる自動化も効いています。粉を手で捏ねなくてよいし、麺も自動で整形されてゆきます。ふつうのパスタマシンだとハンドル手回しで麺を切るはずですが、キッチンエイドは自動でローラーが回ってくれます。生パスタも中華麺も一人で作りました(作れました)。

こうして作ってみると麺もパンもシンプルなのがわかります。粉と水が基本で、あとはいくつかの副材料があれば作れます。慣れると平日の夜にも作れるでしょう。

麺作りがパン作りよりよかったのは、製麺が楽しかったという点です。パンは粉の調整、温度管理、オーブンの調整などパラメータが複雑です。うまく膨らむかどうかをコントロールするのはたいへん難しい。ですが、麺は発酵がなくて、捏ねて切るだけなので、思ったとおりのものができそうです。これからも麺とパン両方を作るとは思いますが、製麺はそれ自体として楽しい遊びなのがわかりました。

追記(5/31)

生地を寝かせるタイミングには諸説あるようです。例えば、麺帯にする前に寝かせるのではなく、以下のタイミングで寝かせます。

  • 麺帯にしたあと30分くらい寝かせる
  • 製麺したあと1日くらい寝かせる

どちらもグルテン形成を狙えそうな気はします。麺帯にする前のボールの状態で寝かせても、ローラーを通してしまうと、せっかくできたグルテンが破壊される可能性はありそうです。