しゅみは人間の分析です

いらんことばかり考えます

2021年ふりかえり

お仕事

この一年は新規プロジェクトのメインエンジンとして働いていました。就労してからいちばんおもしろい仕事をやっている気がします。なんでおもしろいのかというと、珍しいシステムを作っているからです。前例がなくて検索しても答えは出てこないので、ぜんぶチーム内で考えて判断をします。解くべき問題がたくさん転がっていて楽しい環境です。

これまでのお仕事はふつうのウェブ技術で要件に応じた機能を作るものでした。要求に対して最適な設計をすればそれでよくて、問題は負荷くらいのものでした。ですが、新しいお仕事はこれまでの経験が(あまり)役に立たないので、検討すべきことが大量にあります。私の上に経験豊富なリーダーがいるのですが、それでもリーダーひとりで考えきれないのは明らかです。チーム発足当初は指示待ち気分で、のほほんと構えていたのですが、次第に「勝手に問題を拾って解いていかないと進まない」という認識に変わっていきました。

ということがあって、(ある程度)勝手に動いて勝手に答えを出せるようになりました。これが今年一番の変化だったと思います。

体調管理

鍼と散歩で冷え性に立ち向かっていますが、まだ勝てそうにありません。スタンディングデスクを手に入れ立ったままコーディングや会議をするようになりましたが、冷えるものは冷えます。冷えるとだんだん頭の働きが鈍くなり、進捗が破滅してゆきます。冷えは運動不足が原因なので在宅勤務をしている限り根本治療は無理かもしれません。Anova足湯という対策はどうか。今思いつきました*1

漫画お手伝い

家業の同人漫画制作をしています。妻氏が作画をして、二人でネームやネタ出し、アシスタントが私です。かつては二次創作もやっていましたが、今はオリジナルだけで活動しています。商業漫画に足を踏み入れかけたこともありますが、出版社をとりまく環境や編集ガチャのことを考えて方針を変え、いまは好きな題材を好きなペースで書くようにしています。

原稿はイベント前にわーっとなってから描くのではなく、毎日やるようになりました。同人誌なので締切なんてありませんが、あえて締切を作って守るようにしています。安定して本を出すこと、たくさん描いて経験を積むことが主目的ではあるのですが、単に毎日描くのが楽しいというモチベーションもあります。当初は1週間ごとの締切にしていましたが、さすがに無理があったので2週間ごとに改めました。少しずつ作画スピードは上がっているので、何もなければ数ヶ月で100ページの同人誌を作れるでしょう。同人誌が分厚いと存在感があっておもしろいので何とかして完成させたいものです。

漫画は

に掲載しています。

原稿が完成したらSNSに載せていくつもりだったのですが、実際にアップロードしてみるとTwitterもPixivもTumblrも読みごこちがダメでした。漫画は2ページ単位で読んで、めくって驚く体験が大事です。ページがずれていたり、全ページが俯瞰できてしまうと漫画を読む体験にはなりません。

そこで、マンガノを使うようにしました。マンガノは集英社はてなが組んで作った漫画掲載サービスで、GigaViewerを無料で使えるのが特徴です。GigaViewerは多くの出版社に採用されている漫画ビューワー実装なので読みごこちは信頼できます。また、マンガノは読者向けUIだけでなく管理画面も優れていました。今のところ、マンガノが個人の漫画を載せるサービスとして最適だと判断しています。

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挿絵です

アファンタジア

漫画制作を手伝っていたある日、自分がアファンタジアであることに気づきました。アファンタジアとは頭の中にイメージ映像を思い浮かべられない人のことです。イメージ盲とも言えます。例えば、目を閉じて親の顔を思い浮かべることができません。

なぜ気づかなかったのかというと、生活や仕事で困ったことがなかったからです。イメージとして覚えなくても理解していることはうまく説明できます。

なぜ気づいたのかというと、妻氏がよく画像を丸ごと覚えていたからです。例えば、「レシピに載っている醤油、味醂、酒etcの量を覚えておいてください」とお願いすると、それを精確に覚え再生してもらえます*2。また、数学のテストを画像記憶で乗り切ることができたそうです。

ずっと画像を覚えられる人が特殊だと思っていたのですが、あるときインターネットで「頭の中 イメージ ない」でGoogle検索をしたら、特殊なのは自分の方であることがわかりました。これまで人と喋ると言葉の使い方が少しだけ違う感じがして違和感があったのですが、根本原因がわかって安心しています。

料理

趣味・家事として料理をしています。平日が家事としての料理で、休日が遊びの料理です。

今年は小麦粉遊びをやっていました。

製パンも製麺も半年ほど続いており、休日は小麦粉を捏ねまくっています。パン作りは未だに整形が下手くそなのですが、味は安定するようになりました。レーズン酵母とフランス製の小麦粉*3が決め手のようです。製麺は気まぐれにやっています。作るのはパスタや中華麺ですが、そろそろ蕎麦にも手を出しそうです。機械に製麺させるので中年趣味ではありません!

平日の料理では効率を大事にしていました。その結果、こんな記事ができました。

今の自炊界隈の流行りはホットクックかつくりおきなのですが、いろいろ試行錯誤した結果、独自路線を歩んでいます。この記事の知見は日々の研究と土井善晴氏の動画で得た知識がベースになっています。

読書

今年も余暇の中心は読書でした。from:non_117 読んだ - Twitter Search 記録によると、だいたい70〜80冊くらい読んでいたようです。フィクションはSF 1冊だけであとは人文書や科学系の読みものです。

よかった本はこちら。

  • 理不尽な進化
  • 欲望会議
  • 「わからない」という方法
  • さらば、民主主義
  • 中国の大盗賊
  • イメージを読む
  • プロジェクト・ヘイル・メアリー

どれもサービスがよい本です。サービスがよい本とは

で考案した評価基準で、簡単に言うと読みやすいということです。

内容が乏しい、あるいは簡単な本が読みやすいのは当たり前ですが、内容とサービスが両立した本は少ないながらも存在します。内容もサービスもよいのが最高の本です。

週報

日記を抜粋し再編集した週報を始めました。もう2年半ほどプライベートな日記を書いているのですが、日記に対する問題意識も出てきました。書いたはしから忘れてしまうことと、自分にだけわかる文章になっていること、です。日記は書いたときの自分にとって自明なことが省かれていたり、認識が混乱していることがあります。すると、あとから読んでも意味がわからない記述が残ります。読み返しても価値が低いのは微妙だなと思って、記憶があるうちに再編集するようになりました。

まとめ

2019年のふりかえりで「ひと鍬だけ入れる」という考え方を紹介しました。2年間、この考えを敷衍して何でも日常の習慣に組み込んできました。体調管理、読書、日記、料理のすべてが習慣になっています。

今年は漫然と続けてきた習慣が自分なりの体系としてまとまったように思います。本の選び方と料理の技術について深く理解しました。

次に理解したいのは体調管理、つまり身体の仕組みです。これから2年か3年かかるかもしれませんが、理解してしまえばあとの人生が楽になるでしょう。引き続き習慣化と観察をやっていこうと思います。

*1:低温調理器で足湯がしたい :: デイリーポータルZ すでに玉置さんがやっていました。有効そうなので真面目に検討します。

*2:アファンタジアにとってはとても便利です

*3:https://tomiz.com/item/00019302 MINOTERIES VIRON社のラ・トラディション・フランセーズ