しゅみは人間の分析です

いらんことばかり考えます

週報 2022/11/20 インターネットに情報を増やしたい, フローをストックにする, ライザーケーブル問題, 『これがニーチェだ』を読んだ

近況

さむい

なんだか眠れなくて2時に寝る生活をしている。起きるのは8時から9時。出社するときは8時に起きるのでちょっと足りない。でも夜には眠くならない。もともと夜型なのもあるが、ストレスで寝たくないという説もある。ストレスがあるときは「〜せねばならない」的な思考を止めて好きなようにするのがいい、と鍼師に言われた。好きなようにしている。

冷え性

鍼で調子をみてもらったら20点だった。点数は五臓(肝・心・脾・腎・肺)のうちいくつが元気かでつける。四つ元気がなかったので20点だ。原因は冷え。いま一度冷え対策を考えてくれ、と言われたのでレッグウォーマーを買った。家では着る毛布にくるまってすごす。

『これがニーチェだ』を読んだ

サービス: ○, 内容: ◎

ニーチェについて語る永井均先生の本。もちろん哲学。
私はニーチェの入門書をこれしか読んでいないので、解釈のまともさは評価できない。でも、非常に永井均らしい解釈だと思った。この生が端的にこの生であることを不思議に思い、しかし認めるという態度。これが永井均哲学である。

この本の魅力を短いテキストで伝えられたら、とは思うのだがそれは難しい。生の理不尽さは知ってる人には当たり前でも、伝えるのが難しい問題なのだ。理解するには読んで感じて考えるほかない。興味があれば読んでみてほしい。ただし、この哲学が人生の救いになることは保証しない。

『オートファジー』を読んだ

サービス: △, 内容: △

またまたブルーバックスの医学系の本。細胞内のゴミ掃除ユニットの話。これもダメな本だった。無駄に細かいし著者の自慢話が多い。日本語作文もちょっと下手。

もしかすると医学の教科書はひどいものなのかもしれない。ブルーバックスおよび科学読みものはいろいろ読んでいるのだが、医学・生物学の先生はひどい文章を書く。医学部生は教員のひどい日本語で苦しんでいるのだろうか。

ライザーケーブルが原因でグラフィックボードが不安定になる

世間的にはAI画像生成はもうブームが終わったのだろうけど、私はまだやっている。最近はまったく意図していない画像が出てくるのを楽しみに生成している。これも偶然性の楽しみだ。思いもよらぬ構図が出てくるとおもしろい。

偶然出てきた変な絵

画像生成に大事なのはGPU、ということでRTX 3090を買った。40xxが発売したばかりではあるが、画像生成および絵柄学習ではVRAMの量が最重要である。24GB確保するためには4090か3090になる。4090は巨大でPCに入らないうえに、ケーブルが溶ける問題が報告されている。多少のワットパフォーマンスには目をつむって3090を使うことにした。もともとGTX 1070だったので10倍以上速くなる。

 

ところが、RTX 3090で画像生成を回したらPCが不安定になった。突然再起動したり、GPUとの疎通ができなくなったり。CUDA Kernel Errorが何度も出てきた。グリッチした画像も生成された。

天然グリッチ

不思議に思っていろいろ試しては仮説を立てたが、どうも熱暴走や電力不足ではないようだ。高負荷をかけなくても問題の事象が起きるから。

マザーボードとグラフィックボードが並行に設置され、ライザーケーブルで接続されている

しばらく困っていたのだが、あるとき、ライザーケーブルが原因なのに気づいた。私のPCは小型ケースで、グラフィックボードを縦置きすることができる。縦置きにしたほうがエアフローがよいのでそうしている。縦置きにすると、マザーボードとグラフィックボードが並行になる。ふつうは接続できないので、PCIeの延長ケーブルである、ライザーケーブルを用いることになる。これはケースに付属していた。

なにが問題かというと、このライザーケーブルはPCIe 3.0規格なのだ。マザーボードとグラフィックボードはPCIe 4.0である。どうやら4.0の機器を3.0のライザーケーブルで接続すると問題が起きるらしい。この記事で検証されていた。実は知る人にとっては当たり前の問題らしく、PCケースの製品ページにはちゃんと注意が書かれていた。なるほど読んでいるわけがない。しかしメーカーは責務を果たしていた。

おそらくマザーボードかグラフィックボードはPCIe 3.0のライザーケーブルがささっているのに気づかず、PCIe 4.0の信号を流していたのだろう。4.0の帯域は16GT/sで3.0は8GT/sである。2倍。なるほどおかしな挙動になるわけだ。グリッチ画像ができたのも、信号が落ちたからなのだろう。また、かりに流せたとしても倍の信号に対するノイズ対策はできていないはず。だからランダムに壊れるのだ。

対策はBIOS設定だけで済んだ。ありがたいことにマザーボードにはPCIeのバージョンを固定する機能がある。これを3.0にするだけでまったくエラーは出なくなった*1。最新のマザーボードならばAdvanced OptionとかChipset Optionのどこかにあるはずだから探してみてほしい。

心境をテキストで書けるのは特殊能力である

ソフトウェアエンジニア業界のSlackには分報と呼ばれる文化がある。timesともいう。これは仕事の状況や困っていることをつぶやく、個人のチャンネルで、一人一人が好きなことを書いてよい、とされている。twitterを業務Slackチャンネルでやっているようなものだ。

だが、分報には適性がある。つぶやける人とつぶやけない人がいるのだ。これはTwitterでもRTしかしていない人がいることと同じなのだろう。publicな場に対して言葉を投げられる人ばかりではない。内心を言語化できるのは特殊能力なのだ。得意な人、できない人がいる。

私は過去の記事で「内心の相互接続」を批判してきたのだが、便利なのは認める。分報やSNSで他人の近況、考えが見えるのは便利だ。見えすぎるのはどうかと思うのだが、節度があり、他者を尊重し適切に距離をとるのであれば、便利だと思う。

訓練でひとはつぶやけるようになるのだろうか。私はもう20年もインターネットをやっているので、できない人のことはわからない。認知特性も言語偏重タイプ、画像・映像偏重タイプ、音偏重タイプなどさまざまである。認知特性の偏りによって、つぶやくスキルがあったりなかったりするのならば、ただ諦めるのみである。

フローをストックにする

業務でも私生活でもまとまった文章を書くのはたいへんだ。私はこうやって週報を書いているが、楽にやっているわけではない。土曜日には書かないとなー、と思っていて少々負荷は感じている。しかし週報という形が最適だからこうしているし続いている。一年ぶんの日記を年末に読んでふりかえるのは不可能なのだ。読めないから、書いたものはほとんど失われてしまう。しかし、七日周期で、記憶があるうちにふりかえると、何か残るものが出てくる。

同様に、業務でもSlackログや日記を社内記事に変換することにした。業務では記事を書くのに気合いがいる。コーディングやコードレビュー、コミュニケーションに忙しいから。フロー情報ばかりが溜まっていって、あとから参照するには記憶に頼るしかない。誰かが忘れたら終わりだ。理想的には自動で要約されるといいのだろうけど、まだそれは難しいだろう。

だから、日々フロー情報をストック情報に変換していく必要がある。まずはコピペして記事に流しこみ、コメントを添えるだけでいい。元発言だけを読んであとから理解できるか?という視点で評価しさえすれば、まともなドキュメントになるだろう。たいてい背景や文脈が落ちているはず。補足はいる。

よりよいドキュメントにするにはいちから書いたほうがいい。でも、そんな暇はないからコピペしてコメントを添えるだけでもいいのだ。ないよりマシという考え。一方で、この週報は、暇つぶしでもあるので、日記を読んでいちから書き起こしている。そのほうが質がよくなるから。

インターネットに情報を増やしたい

この週報はインターネットに情報を増やす目的もある。何か自分で気づいたこと、トラブルを解決した知識、などをまとまった情報にしてアーカイブしていく。もし価値があれば検索エンジンが拾ってくれるだろう*2。短期的に読まれることは期待していない。インターネットに残る情報が増えればそれでいいのだ。

SNSの短いテキストでインターネットをよくするのは難しい。どうしても情報はまとまった形でないと価値が落ちる。イーロン・マスクのてこ入れによってTwitterで長文が投稿できるようになり、検索エンジンにも拾われるようになるかもしれない。しかし、人様のタイムラインに二千文字のテキストを流しこむのは憚られる。無粋な推薦システムで知らない人のところに表示されるかもしれない。それはちょっと。

長文テキストはそれを読める人にしか届かない問題がある。長い文章、いや日本語を読める人は我々の想像以上に少ない。だからテキスト情報をインターネットに増やしても、それにアクセスできない人は居続ける。そうなのだが、その問題の解決は私の仕事ではないのだ。そういう人たち相手に情報を届けるのは、動画を作る人の役割である。旧来のマスメディアでもよいし、Youtuberでもいい。彼らが万人にわかりやすい、情報量のある動画を作ってくれたらそれでよいだろう。テキストが苦手な人が無理して長文を読む必要はない。

私の言う「インターネット」とは、テキストに変換できる世界のことである。検索技術によって価値ある情報を届けるのがインターネットの全体像だが、まだ動画の検索は難しい。しばらくはテキストインターネットが主役であり続けると思う。ぱっと見で情報が把握できるのは便利なはずだ。

*1:実用上3.0でも困らない

*2:実際に検索流入が増えている